キャリバー5000(2000年)の系譜として生まれた
52000系のcal.52850を搭載する年次カレンダー。
今年のIWCはポルトギーゼイヤーということで
多数の新ポルトギーゼの発表が
まだ記憶に新しいのですが、
このモデルはその内のひとつではなく、
前回のポルトギーゼイヤー(2015年)にデビューした5年選手のモデルです。
さてこのムーブメント、
IWCのなかでは比較的新しいキャリバーですが
5000の系譜とは言ったものの
全くの新しい設計なので
既存のブラッシュアップ版などではないのです。
では何が
5000の系譜(ようするに血筋)と言えるのか、ですが、
わたしの思うポイントで言いますと、
まずひとつには、伝統の「7日巻き」を継承したこと。
時計の世界では「8日巻きムーブメント」というのは比較的目にしますが、
7日巻きはあまり見ることがなく、殆どIWCの専売特許というイメージがあります。
次に、16¾リーニュという巨大ムーブメントの、
そのサイズスペックを5000と完全に一致させてきたことでしょうか。
と言いつつ、実はわたし、
たしかにぴったり同じサイズを継承をしたことは系譜だと思いますが、
そもそもそれ以前に、大型ムーブの路線をキープしたことにも大きな意味を感じています。
大型ムーブだと必然的に構成するパーツひとつひとつも大きくすることができるので
IWCの耐久性と安定性を重んじるイズムにかなっているというワケです。
そのココロは、IWCユーザーへ向けた、
「長い長いあいだ、安心して使い続けてほしいと願う気持ち」の表れだと確信しています。
そして、キャリバー5000も同じ考え方で生まれたムーブメントだったのでしょう。
でなければ2000年当時、こんなに大きなキャリバーを作るメーカーがどこにもない中で、
IWCもまた、作ろうとは思わなかったでしょうから。
さて、継承された部分があれば変わった部分もあります。
大きなところとしては、
6振動を8振動にしたことでしょうか。
しかしこれこそは、時計である以上、
宿命的に追求されるべき「高精度」を狙うが為のIWCの姿。
高級時計メーカーIWCの選択だったのだと思います。
趣味性と同時にリアルな「時計=道具」へのこだわり、
信頼すべきIWCらしいリアルを大事にする姿。
本当に好感のもてるブランドです。
IW503504 |IWC ポルトギーゼ アニュアルカレンダー
k18 レッドゴールド製
321万5千円(税抜)